australia


第13章再び北へ・前編
−The Diary 1988 in Australia−

58日目(September 1)
 アリススプリングスを出発し、スチュアートハイウェイを北へ向かう。巨大なロードトレインが時速100km近いスピードでハイウェイを走っている。三両連結のトレーラーで、そのタイヤの数は60個以上、全長はなんと50mにもなる。前部には牛の衝突にも耐えられそうな極太のカンガルーバーが取り付けてある。恐ろしいほどの迫力だ。その長さのため追い越すのも結構大変で時間がかかる。ここから北は鉄道というものがない。物資の輸送はこのロードトレインで行っているのである。
 道路の両側には蟻塚が地面からにょきにょきと生えている。異様な光景だ。アリススプリングスよりも南側にはなかったのだが、町から少し北へ走っただけで急にそれは現れ始めた。高さは1m程で円錐形をしている。褐色の土で造られ、素手で触れてみるとけっこう硬い。住人である蟻は全く見えないが、内部にはいっぱい蠢いているのであろう。それを想像するとぞっとする。
 きょうは南回帰線を越えた。これでまた一歩赤道に近づく。気のせいか、昼間の太陽の位置が妙に高いように感じる。ロードハウスのキャンプエリアにテントを張るが、町を離れるとやはり心細いものだ。
( Caravan Park / Wauchope / 7,729km )

59日目(September 2)
 辺りには直径5mほどもある岩石がごろごろしている。しかも、不思議なことにどれもきれいな球状をしている。ここはデビルズマーブルと呼ばれる場所だ。この一帯には地質の関係で立方体状の岩が数多く形成されたそうだ。そして、風雨がそれぞれの角を少しずつ削り、今のような丸い岩を形作っていったのだという。ここまでなるのに気の遠くなるような長い年月がかかっているに違いない。自然の力を感じさせる。
 Elliottというロードハウスでテントを張った。しかしこの暑さには参る。夜になっても気温が全然下がらない。この辺りはまだ乾期のはずだが、雨も降り出した。明日の天気が心配だ。
( Caravan Park / Elliott / 8,108km )


第12章アリススプリングスへ戻るback< -home -up ->next第13章再び北へ・後編