オーストラリアに来たのならやはり首都キャンベラを訪れようということで、シドニーから走ってきた海沿いのプリンセスハイウェイを離れ内陸側へと進んだ。オーストラリアン・キャピタル・テリトリー(ACT州)に入る。ここはもともと何もない山中にに造った街で、シドニーとメルボルンそれぞれに平等になるよう、両都市の中間を首都と決めたのだそうだ。
首都キャンベラに到着する。ここはよく整ったきれいな街ではあるが、人通りも少なくひどく人工的な感じがする。キャラバンパークを見つけ、テントを張った。
(South Side Motor Park, Canberra / July 30, 1988)
明け方には気温が0度以下となり、テントから外に出ようとすると凍りついた生地がバリバリと音を立てた。周囲の地面を見ると、あたり一面に霜がおりて真っ白だ。昼間の過ごしやすさからは予想もつかなかった温度差だ。キャンベラがこれほど寒くなるのだとは思わなかった。やはり山中に造られた街であるから、標高があるせいだろう。冬山用のダウンの分厚い寝袋を持ってきたおかげで何とか眠ることができて助かった。
シドニーを出てからオートバイの走行距離が1,000kmになったので、この街でエンジンオイルの交換をしたい。しかし今日は日曜日のため、そう広くはない街中を走り回って探してみたのだが、バイクショップは見つけたが残念ながら休業日だった。なにも急ぐことはない。ここでもう一泊して、明日を待つことにしよう。
旅の間は髭は剃らずに伸ばそうと決めたので、必要なくなった電気カミソリは、荷物の軽量化のために捨てた。これだけでもだいぶ違ってくる。こうして必要最小限に装備がスリム化されていくのだ。
(South Side Motor Park, Canberra / July 31, 1988)
昨日見つけておいたバイクショップへ行き、オイルとオイルフィルターの交換をしてもらう。それから、少し衝動的ではあったが、ヘルメットを買い替えた。シドニーで手に入れ、これまでかぶってきた日本製のアライのヘルメットだが、これのサイズがきつくて困っていた。
ヘルメットのサイズというのは、短時間で少しきつめかなという程度のことが、長時間かぶっていると痛みが蓄積して頭が割れそうにひどくなる。日本で使用中のものと同じメーカーでサイズも同じSを購入したのだが、どうも頭の形が欧米人向けになっていたと思われる。 そして、今回は慎重にサイズを選びイタリア製ノーランのヘルメットを購入した。不要になったヘルメットは持ち運ぶことができないため、とてももったいないとは思ったが、ショップの店員にあげてしまった。
キャンベラを出発し、再びニュー・サウス・ウェールズ州のルートへ戻る。シドニーから走ってきたプリンセスハイウェイに合流して南下する。新調したヘルメットは快適だ。オフロード用のためとても軽く、サイズもぴったりで、頭も全然痛くならなくなった。これが普通なのではあるが、ヘルメット選びのサイズと頭形は本当に大切だ。
トラベラーズチェックを現金に替えるため、途中の街に寄って銀行を探すが、月曜だというのにどこも休業日となっている。なにかの祝日(注:後の調べによると、この日8/1(月)はAugust Bank HolidayというNSW州の銀行の休日だったのではないかと推測されます)なのだろうか。しかたがないので、なんとか明日まで少ない手持ちの現金で過ごすこととした。
今日から8月になった。オートバイの走行積算距離を日々の記録として残しておくことにする。新車なのでシドニーの出発を0kmとして、走り始めて4日目だが距離計はすでに1,000kmを越えた。オーストラリアの雄大さを感じる。
(1,269km / East Van Park Riverside, Narooma / August 1, 1988)